夏の間
10/25/2022
あなたは目の
見えないままに瞬きする
夏の間
膨張するふたつの肺に
人知れず無感情な梅雨の病が
さながら亡霊のように深く深く染み込んでゆく
墓場の味
それはちょうど熟し切った果実のように
君の黒ずんだ脂っこい肌から
君の取り返しえない情念が
何か灰になってしまった涙のような情念が滴り出て行って
(──それは出来損ないの標本みたいにボロボロになった春
自分がもうすぐ死ぬとわかっている春の病床の上で)
まるまると太った
不均衡な形の愛の像が出来上がる
こうして僕は
君の孤独にすら取り残される
君は制御を失った
そして君は僕の首元に
この血管の集中に
口づけした
噛むように
ほだすように
激しく
でも優しく
腐るように秋が降りて
眩い冬が去っていった
依然君は君の瞼の下
そしてその眼球の上には
厚い蜘蛛の巣がかかっている
僕は君の笑いに
ついていこうといつも必死だ
愛する人よ
あなたは目の
見えないままに瞬きする
すべての夏の間
すべての感覚に暗がりの怖ろしさが巣くう間
その危なっかしい感情のお手玉で希望が何であるかを教えてくれ
立ち止まってばかりいる僕のために僕のことを哀れんでくれ