JY-STORAGE

砂漠の領域

どれだけ学んでも

人は自らを完全には提示し得ない

どれだけ学んでも

あなたにはあなただけの空所が


(まったく

 かわいそうな奴らじゃないか


 地獄のどん底におとされた

 独り身の悪魔のように身勝手で

 びっくりするほど愚かだ)


そこは埋めることができない

誰に明け渡すことも叶わない


──できない

──はかり得ない


鏡の前に立つ己自身の

眼の向こうの穴


そのずっと下で静かに眠る

粉砕された夢の数々

──すやすやと夢想する子供のように

おとなしく

かぐわしい──


それらは砂となって夜風に吹かれる

──精神の誰にも知られることのない側面で

毒を分泌するグロテスクな襞をつたって

弔いの鐘もなく世界から外されてゆく──


人はそこには入れない

僕は夜の砂漠にひとり

居を構えてしまったのだろうか


(まったく

 かわいそうな奴らじゃないか


 「街は壊滅している」

 それが奴らの言い草だ

 執拗に自己なるものを信じ

 他者を信じ

 そうして両者を破滅に追い込む)


どれだけ学んでも──

どれだけ疲れても──


どうしてだろうか


僕の弱さだろうか


慣れ親しんだ街の晴れ景色


からの窓枠


生涯の友を見つめている


僕の心は閉じている

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