あやまち
8/17/2022
手に負えぬ口惜しさの陰で
君は僕を誘拐した。
追い上げる木枯らしの冷笑。
その肌寒い触れ合いは僕らの耳元で
君のはかなくも熱したほっぺと
この恥に焼かれたがらんどうの喉に優しかった。
「もっと遠くに行きましょう
誰にも知られぬ時の先
自らを打ち明ける白銀の夢が
私たちにだけそっと吹いてくる場所に
あなたは黙って
ついて来てください」
今はこのおびえた耳に
君以外の言い分は届かなくなってしまった。
一生涯の青春よりも大きな疲れが
去りゆく人にすがるものを選ばせる。
そして僕にとっては広過ぎる空の裏側へと
君は詩人の腕を伸ばしてゆく。
このあと僕らがどうなるのかはだいたい分かる。
最初にやらかしたのは君であり
次に僕だった。
そして君がしくじって
僕がしくじって
また君がしくじれば
夢は終わる。
そこで疑問。
──僕らの子供はどうなるのだろう?
僕らの次は。
泣くのだろうか、
泣かないのだろうか。
あるいは泣いて
泣き止むのだろうか。
世界の外側からやって来て
僕らの内側から生まれいづる君よ、
きっと僕らが白に覆われた頃
はみ出た僕らの思惑の一切も
どうかその下にしまっておくれ。
もう誰も僕らのあやまちを見ることのないように、
最高の死に化粧を君以前の過去に施してやってくれ